| 【要旨】(878字)
周知のごとく,電車内での携帯電話(とくに通話)に関しての苦情は後を絶たない.この問題の解決の大前提は,まず第一に自主的なルール(マナー)を遵守することにある.しかしこれは必ずしも守られておらず,このことが新たなトラブルの原因にもなっている.
携帯電話で通話することに対して不快感を持つ人の割合は報告によっても異なるが,少なくとも統計学的に無視し得る5%以下ではなく,むしろ過半数であることを裏付けるデータが多い.従って全体としてみれば通話を禁止することは妥当であると考えられる.しかしながら携帯電話の普及率の上昇に伴って,常に通話可能な状況でありたいと望む職業人がいることもまた事実である.また通常は通話希望を持たなくとも,近親者の危篤時など,その日の状況に応じてどうしても通話可能状態にしておきたい場合は存在すると思われる.
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携帯電話から発射される強い電磁波からペースメーカ装着者を守り,充分な安全性を確保するためには,一般に22cm以上離せばよいことが分かっている.
しかしこの厳然たる科学的事実とは裏腹に,「どのようなルールで運用すべきか」という判断面についてはしっかりとしたコンセンサスがあるとは言い難い.このため「満員電車内では避けるべき」とするのが妥当なのか,「空いている車内でも禁止すべき」なのかといった点における考え方に相容れないギャップが存在し,このことが新たな相互不理解とトラブルを惹起していると言える.
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我々はこういった複雑な問題を合理的かつ迅速に解消する有効な手段として,通話許可車両と通話禁止車両を明示的に区分する「分電」を提唱する.
「分電」を行うことにより通話可能車両が常に存在することになるため,職業上あるいは偶発的に通話が必要なケースに合理的に対応することができる.また一方で通話禁止車両を明示することにより,ペースメーカー装着者に対する安全性も従来より高めることができる.さらに,隣人の通話が不快であるため思考や読書に集中できないといった,本来最も忌避すべき「社会的高次機能の停止」を回避することができる効用も期待される.
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