読売新聞福島県版 2003/10/7

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排気管内で窒素凝結か いわきの病院爆発事故 

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 気化ヘリウム 排出機能低下招く

 いわき市平の松村総合病院(安本幸正院長)で四日に起きた爆発事故は、MRI(核磁気共鳴映像装置)内の液化ヘリウムが急激に気化した際、外部に放出する排気管の一部が低温で凝結した窒素によりふさがれ、爆発につながった可能性が高いことが六日、いわき中央署の調べで分かった。調べによると、液化ヘリウムを自然に放出し残量を減らすため排気管を開放した三日夕から四日朝にかけて、低温になった管内で空気中の窒素が凝結、排気口を狭めた可能性が高いという。同署では、四日朝の抜き取り作業前に十分な安全確認が行われたかなど作業手順に問題がなかったか詳しく調べている。

 一方、同病院は六日、通常業務を再開。同病院では、爆発直後に外来診療を休診としたが、同日までにMRI室を除く施設の修復と安全確認を済ませ、午前八時半から外来受け付けを始めた。

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読売新聞福島県版 2003/10/5

いわきの病院で爆 発 大音響、飛び散るガラス 作業手順に問題?院内混乱

ドーンという大音響と共に、ガラスが砕けて飛び散った――。四日朝、いわき市平の

「松村総合病院」一階MRI(核磁気共鳴映像装置)室内で起きた爆発事故。計八人

が重軽傷を負い、待合室にいた外来患者二十数人も一時退避するなど、院内は一時混

乱を極め、関係者は終日対応に追われた。いわき中央署は業務上過失傷害の疑いで捜

査、同日、現場検証を行った。

 ■被害 

 同署などの調べでは、負傷者は六十三―二十六歳の男女八人で、内訳は、機器交換

に伴うヘリウム抜き取り作業を行っていた東芝メディカルシステムズ(本社・栃木

県)の社員三人と、同病院のボイラー技士など職員三人、清掃などの出入り業者二

人。頭がい骨を折るなどの重傷者二人を含む七人が入院した。

 軽傷を負った病院納入業者勤務の女性(57)は「病院に魚を納入するため、車を

止めて外に出たところ、いきなりガラス片が左ひじに刺さった。何がなんだかわから

なかった」と話した。

 爆発の影響で、MRI室内は床一面にガラスや壁の破片が飛散し、天井も吹き飛ん

だ。さらに、隣接する技士控室やその隣のレントゲン室も一部損傷。五メートル程離

れた通路の天井も一部はがれ落ちた。

 ■作業 

 「あってはならないことが起きてしまった」。同日午後、安本幸正院長は苦渋の表

情で会見に臨んだ。

 病院側によると、MRI機器を交換するため、東芝メディカルシステムズの技術者

三人が同日午前八時二十分、液化ヘリウムを機器内のボンベから抜き取る作業を始め

たが、爆発はその直後に起きた。

 同社によると、抜き取り作業は、室温の空気をボンベ周辺に注入して温度を上げ、

中の液化ヘリウムを徐々に気化させた上で大気中に放出する、という方法で行われ

た。この際、何らかのトラブルで機器内温度が上がりすぎて急激な気化が起こり、爆

発につながった可能性が高いという。

 同社側は「作業手順に問題があったと考えられる。徹底した原因究明を行い、再発

を防ぎたい」としている。

 ◆急激に気化すると爆発のような状態 ヘリウム自体は安定

 MRIは、磁石を使った画像診断装置。大きな磁石の間に人を寝かせて体に電磁波

をあて、この波に共鳴した体内の元素から発せられる信号を集めることで、体の断面

を画像にする。

 強い磁場を効率的に発生させるため、機器内に電気抵抗のない超伝導状態を作り出

すが、これには極低温での冷却が必要で、氷点下約270度の液体ヘリウムが用いら

れる。ヘリウム自体は安定した物質で化学的に爆発することはないが、液体が温まっ

たり圧力が下がったりして急激に気化すると、体積が約七百倍にも膨張し、爆発のよ

うな状態を起こす可能性がある。

 MRI診断学が専門の東海大医学部の高原太郎講師(42)は「MRI内の液化ヘ

リウムが爆発的に気化する事故は、それほど珍しくない。ただこの場合、MRIの上

部についている排気筒が自動的に開き、気化したヘリウムが屋外に排出されるように

なっている。今回のような大きな事故は初めてだと思う」と話す。