Nov. 17/2001 しし座流星雨(3): どうやって予測したか
いままで,流星群の予測は,まったくあてにならないものでした.

もちろんしし座群も,正確な予報はできなかったのです.

しかし英国のDavid Asherという博士が初めて予測する方法を考案し

この予測はきわめて正確であることがわかってきました.

そこで今年は大騒ぎになったのです.

では,どのようにして予報が行われるようになったのかを

解説します.


■1998年

1998年は,テンペルタットル彗星が33年周期で戻ってくる年だったので,沢山の出現が期待されていました.

テンペルタットル彗星の軌道の近くを通る時刻(これは正確にわかる)から,最初にBの時刻に流れ星が沢山現れることが予測されました.

たしかにBで,あるていどの出現(だいたい100個/時)が起こったのですが,なぜかAの時刻にもっtたくさんの流れ星が流れたのです.

これがきっかけになって大発見が起こりました.


この2つの出現のピークには,2つの大きな違いがあることがわかりました.

第1に,AとBでは,Aのほうがなだらかなピーク(裾野が広い)ことが分かります.


第2に,AとBでは,明るい流れ星(つまりゴミが多きいもの)の割合に大きな差があり,Aのほうが明るい流星が多いことがわかりました.

■発見

そこでAsher博士は考えました.

1) 裾野が長い = 彗星がチリを撒いてから時間がたっているので,裾野が長くなる.

2) 明るい流星が多い = 大きいゴミが多い = 時間が経つと,小さなゴミは,慣性質量が小さいので軌道から散逸するが,大きなゴミは慣性が大きい(軌道上にとどまろうとする)ので,1)の推論と同様に,彗星がチリを撒いてから時間が経っていると考えられる.

→1) と2)から考えて,地球は2つのチリの軌道と交差したと考えられる.

Aは,古くに撒かれた軌道
Bは,新しく撒かれた軌道

■摂動により軌道は少しずつ変化する.

本当は,軌道はいつも同じところにあるはずですね.でも木星のような大きな惑星によって,軌道は常にすこしずつ修飾をうけて,ずれるものなのです.このような影響のことを,摂動(せつどう)といいます.

ですから,もともと同じ彗星から撒かれたチリであっても,たとえば1966年に接近したときに撒かれたチリの軌道と,1999年に接近したときに撒かれたチリの軌道は,わずかに違うところを通ります.このようなわずかな違いのなかを地球が通過したのだと考えられました.

そこでAsher博士は,彗星と木星の重力の影響をしらべ,過去のゴミがどこを飛んでいるのかを計算しました.


その結果,以前は知られていなかった1333年(600年前)のときに撒かれたチリの軌道が,地球と交差していたことがわかりました.これがAに相当します.

また,通常のPeak Bは,1965年のときの軌道上のチリによりもたらされたと考えられました.

この図は,向かって右側に地球が動いていく説明図になおしてあります.

楕円形は,チリの軌道が,地球の軌道平面と交差する領域を示しています.(斜めに交わるので楕円形)

楕円形が,地球の軌道(青線)に近ければ近いほど,流れ星が沢山ながれるはずです.

また楕円形(チリ)が撒かれた年が最近のものであれば沢山のチリがあり,流れ星が沢山流れるはずです.

右の方に1800年代のチリの軌道がありますが,古かったし,地球の通り道から遠かったので,このピークはほとんど出現しませんでした.


■ 1999年:初めて予報が当たった

このような仮説は,1999年にただしっことが確かめられました.

彼の理論では,この年,1899年のチリの軌道が,ほぼ地球の通り道に一致するので,いわゆる「流星雨」になることが期待されたのです.


予測は見事に適中し,矢印部分で,ヨーロッパで時間5000個の流星雨が見られました.

人類が,初めて流星の出現をピンポイントで予測し得た瞬間でした.


■2001年

そして2001年です.

今年は,1767年,1699年,1866年のピークが地球の軌道の極めて近傍にあります.このため,日本時間2:31と3:19に,日本で流星雨が見られるとされているのです.

最近の予報の修正では,各々のチリの軌道は,わずかに図の上方へずれそうなので,アメリカのほうが沢山流れるかもしれないといわれていますが,それにしても日本における空前の出現規模になることはほぼ確実と思える情勢です.

唯一の不安は,母彗星がすでに地球から遠くへ行っていることで,このために予測よりも出現がすくなくなる懸念は残っています.


しかし,それにしても日本が特等席であることには違いありません.

下の図は,日本時間午前3時19分に,しし座(つまり流れ星の降ってくる方向)から眺めた地球です.

向かって右側は昼なので,流れ星は見えません.

また日の出直前の部分でもよく見えません.

たくさん見えるのは,この地球のなかの左側の夜の部分(白く表示),それも真ん中に近いところなのです.

33年に1度のチャンスのときに,どれだけみなさんが有利な位置にいるかがお分かりかと思います.

ぜひみなさん,晴れるのを祈って,頑張ってみましょう!!

ちなみに3D画像などは, このページの最下段にありますので,ぜひごらんください.

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