May 26/2005 地震予知の試み〜串田法とは何か。どう読むのか。
年前に、関東に大きな地震が来ると予測した八ヶ岳天文台の串田氏は、流れ星のFM電波観測をしていたときに、異常な信号に遭遇し、その後大きな地震が起きたために、地震予知に使えるのではないかと考えました。

そのホームページをご覧になった方も多いと思いますが、今週末に地震が来る懸念がある由書かれています。串田氏の方法には疑問や反論も多いのですが、2年前のときに地震研究者を集めて八ヶ岳で行われたカンファレンスのときの講演を記録した動画(60分ぐらいあったとおもいます)を拝見し、串田氏が非常に真摯に考えて研究を行われている様子、また未知の事柄に挑んでいこうと

いう様子をまのあたりにしてから注目しています。残念ながらそのときの動画像をアップしていたサイトでは、すでにこれを扱っていないため、我々は再度見ることができません。

その講演では、どのような方法で行っているかがかなり細かく紹介され、私はそれで氏の公開されているページの内容をある程度分かるようになりました。

ここでは、公開されているPDF書類を参考に、公開ページの内容が一般の方にも理解できるように説明を試みます。なお、現在はもっと新しい知見がありますが、あくまでもPDF書類の内容のままの説明ですのでご了承ください。誤りについては責任を持てませんので、併せてご了承いただけますようお願い申し上げます。

■どのような方法か。

串田法を説明するには、まず流星のFM電波観測についてふれる必要があります。

これは、ラジオの短波放送を、受信者がアンテナで聞く様子を示しています。

短波はこのように、電離層で反射しますので、地平線の向こうにある局の内容を受信できます。

自分がこどものころには短波放送を聞くことが趣味としてはやっていました。なつかしいなぁ。僕はSKYSENSER 9800というのをもっていましたよ。

短波と違ってFM波は電離層を反射しにくいので、地平線より向こうにある局の放送を聞くことはできません。
しかし、流星が大気圏で燃え尽きるときに、周囲の電磁的な状況を変えるので、一時的にFM波が反射して届くようになることがあります。
それを、センターメーターと呼ばれる、電波の強さが変化すると+もしくはーに振れる装置を使い、これをペンコーダーで記録するとご覧のようなグラフになります。

横軸は時間、縦軸は電流です。

ここでは、観察時間内に4つの流星が流れたことを示しています。

この方法(流星のFM電波観測)は昔から行われており、晴天でなくても観測でき、また肉眼観測にくらべて視野が広いので、重要な観測方法のひとつです。

■地震のFM電波観測(仮説)

地震が起きるときには、岩石が周囲から強い圧力を受けており、最初にミシミシと壊れ始めるときに、静電気が発生します。

地盤でこのような変化が起きると、その上空の電子密度が変化して、一時的に流星と同じような作用(つまりFMを反射させる)が起きる仮説が考えられています。

同様の理由により、地震雲が発生するような仮説も考えられています。地震雲や、動物の異常な行動などは、「宏観現象」として知られているようです。

いずれもあくまでも仮説であって、証明されてはいません。このあたり、よくご承知おきください。

■観測される信号

さて左は観測される信号について書いたものです。串田氏によれば、通常はゼロ点にあるペンコーダーが、ごらんのように上下に揺動することがあるようです。

これをBF(Baseline Fluctuatoin)と呼んでいます。さまざまな異常波形のうち、もっとも基本的で重要なものはこのBFなので、覚えてください。

もうひとつの代表的なものは、基線の幅が通常よりも太くなるBT (Baseline Thickening)という現象です。

これは、M5以上の大きな地震の際にしか認められないとされています。

■BFを利用した震央の推定

は、放送局からのFM電波が上空で反射して受信されるものなので、反射するところが震央上空ということになります。

放送局までの距離と、震央までの距離、放送局の出力には関係がありますが、ここでは説明を簡単にするために、「ある割合」のところに発生するという記述にとどめます。

観測を続けるうちに、アンテナが放送局を向いていない場合、やはりある一定の距離に震央があった場合に、異常なデータが受信されることがわかってきたそうです。

このためもし、下記のようにいくつかの傾きをもったアンテナに異常なデータがでた場合には、BF sentive regionを示す小さな円の軌跡 - つまりドーナツ状の部分のどこかに震央があると考えるわけです。
そこでもし、八ヶ岳のほかに、北海道や秋田や高知などにアンテナ基地をおいておいて、いろんなFM局の電波を受信して異常がでたとしたら、こんなふうにたくさんのドーナツ円ができますから、そのかさなった部分(斜線部分)に震央があると予測できることになります。

これが、公開ホームページでよくでてくる、たくさんの円が重なった図がでてくる理由です。

■BFを利用した規模の推定

BFは、基線がゆれうごく現象ですが、その振幅をVとしたとします。

そして、基線の幅をV0としたとします。

このとき、V/V0が、規模を決定するそうです。

規模は地震の時にずれる断層の長さ(L)で与えられます。

断層長(L)と地震の規模(M;マグニチュード)との間には、log L =0.5M - 1.8の関係があることがわかっているので、LからMを求めることができます。

といってもわかりにくいので、L=5kmのときM5、L=50kmのときM7、L=16kmのときM6、L=160kmのときM8という風に、断層長さが10倍になると、Mが2違うと覚えておくとよいでしょう。

なお、震源の深さがとても深いと、現象が出にくくなると考えられますが、その経験値が以下のようです。

つまり震源が100kmの深さのような深い地震だと、予測しにくくなると言うことです。

どうように、海の中の地震では、現象がでにくくなり、深さ1700mのところの地震だと、Mが2も小さくでてしまうことになるため、海岸線から離れた地震は規模推定が過小になる懸念があるようです。
■BFを利用した発生日推定

BFの現象が初めて出た日(初現)

最大になった日(極大)

消失した日(消失)

の関係はこんなふうになります。

で、それぞれの間の日数に関して、以下のような組み合わせがありますが、それぞれ名前がついています。

Tなんとか、という風に言うのですが、名前から推定してください。

そして、各々の時間の長さはこのような比率になっています(内陸地殻地震の場合)
Tmapとかの書き方は難しいので、ここでは、各々の時間をこのようにa, b, lとして説明しますね。
もし、初現と極大までわかったら、aがわかりますから、

極大から発生まではごらんのような式で求められるわけです。

さらに時間が経って、消失まで観測したら、ごらんのような式でも推定されます。

t1,t2,t3の値は、標準式とずれるわけでしょうから、3つの数字によって予測日がすこしずれることになります。これがいくつかの候補日が挙げられている理由です。

そのほか、いくつかの指標がありますが、詳しくはわかりませんので、省略させていただきます(前掲のPDFなどを参考にされると良いと思います)。

No.1375に関して言えば、端から見ていると繰り返し修正が行われ、一喜一憂しているとなにもできなくなります。このため、串田さんがいわれているように、これはあくまでも実験なのであって、予知情報としてとらえるのは難しいと感じています。

しかしそれでも私があえてこれを書いたのは、あのページをみても初めての方は全く分からないであろうと思うことと、このような取り組みがなされていることを広く知らしめたいと思ったからです。しかし、かなりのバッシングもあると思いますが、串田氏の努力には頭が下がります。

現時点で信頼に足りうる予知方法はないとして、実際にこういった活動がいまもっとも役に立っているのは、「地震が来るかもしれない」という恐れが喚起され、

用意すべきもの
用意すべきこと
知っておくべきこと

をすこしでも多くの人が学ぶことだと思います。

地震が来ることを知っていても、またその恐ろしさを知っていても、書いている私も死んでしまうかもしれませんが、上のような意味合いで、以下のページなどご覧いただき、(今のところ)突然襲ってくる地震にすこしでも備えることで巨視的な観点で犠牲がすくなることを祈っています。

(同窓生のさとうなおゆき君のページ)

地震が起こったらまずこれをしろ!
地震が起こる前にこれをしろ!
震度7の朝、妻は臨月だった。

(参考までに)

行徳高校での試みを紹介した文章
2年前の時の週刊誌記事など(串田法)
群馬大学早川氏による串田法の評価

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