Siemens MR

Siemens MRでは、新製品の発表自体はなかったのですが、来年の製品に搭載されるアプリケーション
としていくつか重要なものがアナウンスされていました。

↓まず一番重要と思われるのが、「Zoom it」と呼ばれる、局所励起(Regional Excitation)です。
これはいままで、8ch送信などでないとできない、と思っていましたが、現行の2chでも一応できるの
ですね。

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↓これはMotivationの説明ですが、皆さんよくご存知のように、FOVを小さくしていくと、折り返しアーチファクト
を生じますね。だから今まではFOVを小さくして撮影するにはいろいろな制約があったわけです。

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↓励起をする時に、左のように普通は単純なsinc関数で励起をするのですが、そうではなくてMultitransmitでは
右側のように励起パスルの位相やamplitudeを複雑にコントロールします。これは3Tなどでは均一な励起に
用いられてきていますが、もうすこしこれを積極的に使うことにより敢えて、ある部分だけど励起できるように
なります。これが局所励起です。

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↓下の写真は通常の撮影(左)と、前頭葉だけを励起した画像(右)です。右の画像は、普通の
Presaturation pulseを打って消したのではなくて、前頭葉だけを励起するようにしたわけです。

そうするとこれはDWIにはとくに福音になります。まずecho train length (EPI factor)が少なくなりますから
歪みが減ります。またTEが短くなることによりSNRも上がるわけです。

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↓このような、歪みが少ないといった利点は、以下のような脊髄神経のDTIを撮影するときに役立ちます。

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↓また前立腺など、体の中央の構造物を撮影するときに、小さなFOV(局所励起)をして少ないphase encode
で撮影しますから、より鮮明な(高分解能、小さいT2 blur)、そして歪みの少ない(少ないecho train)画像が
得られるわけです。左はTSE、中央はZoomed DWI、右はConventional DWIで、緑と黄色の線は、TSEの辺縁と
Zoomed DWIの辺縁がよく一致することを印象づけています。

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↓ただ正直行って、TSEの画像は(撮像時間は短縮するけれど)、画質としては劣化していました。
まだプロダクトになっていないので当たり前ですが、日本のユーザーがいろいろと試してみるのが
楽しそうですね。

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↓将来的にはこのように8chのフルスペックにして、血管だけを「円形(円柱)」選択励起したり
脊椎に沿ったpresaturation pulse (SAT pulse)を曲線的にいれたりするようにできないかが模索
されています。

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↓そのほか、Double IRができるようになったというアナウンスをもらいました。

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↓もう一つの重要なアプリがRESOLVEです。

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↓これはSegmented EPI DWIですね。この図ではecho trainを1/5にしています。位相のズレは、navigator echoで
管理していますが、詳しくは論文を読んでくださいね。「Readout segmented EPI」とかでPubMedを検索するとでてきます。

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↓上の写真で「Short TE」というのが書かれていますが、実はこのシークエンスで重要なのは、歪みが
少なくなることの他に、T2 blurringが減ることがあります。いままでみんな、高分解能にしようとして
pixel sizeを小さくしていましたが、いくら小さくしてもT2 blurringがひどいのでボケた画像だったのですね。
echo trainが短くなることによりこれが著明に改善して、シャープな画像になるわけです。

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↓脳梗塞の画像でも、すばらしい切れ味ですね。ただもちろん、撮影時間にペナルティがありますから、
今後どのように使っていくのかは臨床的な吟味が必要になると思います。

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↓あとは全身用MR-PET装置です。シーメンスの装置はMRIとPETを同時収集できることが強み
ですね。Time of Flightはできないにしても、解剖学的に精度の高い一致性が得られるのが魅力です。
世界的に15台の納入が年内に決まっているそうで、案外出ていますよね。

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↓あと、本当かどうかはわからないのですが、PACEで呼吸同期しながらPETも同期撮影できる
らしいという説明を受けました。皆さん後々詳しく聞いてみてください。

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ではこれでSiemens MRIの報告を終わります。