Dec 1/2006 Siemens MR ( Tim CT and Applications)
SiemensのMRIでは、TimCT という新しい機能が発表されました。 TimCT の「 CT 」という言葉は、 continuous table movingのことです。何だか CT のように聞こえますが、 MRI の機能というわけです。その他、二つの新しい application についてご紹介します。 (注意:AmiVoice MedMail Ver.6.51a を利用して執筆しています。従来よりかなり性能が向上して容易に執筆ができるようになりましたが、速報なので文章表記の誤りがあるときがあります。その場合はご連絡いただけますと幸いです
繰り返しますが、 CT ではなくて MRI です。しかし CT のように、持続的にテーブルを動かすことができるという技術です。
そして、この TimCT の機能を有し、かつ後述するような新しい application 群を装備したトップエンドの機械が T-class と呼ばれる機種です。

TimCT は、特別なアプリケーションにのみ使われる技術ではなく、ルーチンの撮影に用いることができる機能のようです。そして、Timに関しては最大102素子のコイルにつないで、32チャンネルで受信することが可能です。

左の写真は、今までは階段状にスキャンを行っていたのは、今度からはエレベーターのように持続的にスキャンできるということをアピールしたものです。

下の写真は、その象徴的な使用方法で、造影 MRA においてテーブルが動きながら撮影できます。一つの部分を撮影して次に段階的に移動するのではなく、あくまでも持続的に動きます。 axial のスキャンだけではなくて、このように造影 MRA のような冠状断のスキャンも continuous table moving 状態で撮影することができるということでした。

従来のマルチステーションの撮影方法、右が今回の TimCT による撮影法を写真を使って示したものです。
TimCT における撮影では、従来、間欠的なテーブル移動の時に必要だった「移動時間」を無駄にしなくてすむので、その分全体的なスキャン時間が高速化されます。この時間を用いると、高分解能化できます。右の TimCT の方が高分解能で撮影していることを示す説明図です。
これが今までの開発ロードマップです。ご覧のように、まずTimが開発され、次に AutoCoil Select が開発され、今回の TimCT に繋がっているということがわかります。
AutoCoil Select というのは、撮影部位を移動させる時に、自動的に必要な coil 群を選ぶという機能です。これは持続的テーブル移動の時だけではなく、通常のスキャン(例えば上腹部を撮影した後に下腹部を撮影するような時)に役に立つ機能です。

左の写真では、像の左右に上下に長い法が表示されていますが、これが各々の coil の受け持つ範囲です。

このディスプレイでは動画で示されていて、撮影部位の移動に伴って次々に coil を変える様子が表示されていました。

左の写真は身体全体のスカウト画像です。写真の右側はその一部が表示されますが、動画で徐々に頭から足に向かってスカウト画像が撮影されていく様子が示されていました。

スカウト画像を撮影する時の移動速度は、概ね5cm /秒のようです。

T1強調画像は1cm /秒程度、 T2強調画像は3mm /秒程度で撮影可能ということでした。このあたりは、当然分解能とのトレードオフになりますので、実際の撮影条件で色々試してみたい気がします。

なお繰り返し時間が長いとなかなか進むことができないということです。従ってこの方法は TR が短い撮影法(例えば造影 MRA )において特に福音となるようです。

撮影されるスカウトビューはご覧のように MPR で3方向表示できるので、いわゆる3-plane localizerを順番に撮影する必要がないようです。

体全体のスカウト画像を40秒程度で撮影できると書いてあります。

スカウト画像のスキャンパラメータです。
axial て撮影して、スライス厚7.5mm 、1枚当たりの撮影時間が150msec ととかかれています。テーブルを移動させながらこのような2Dの撮影をどのようにするのか、今後詳しく知りたいところです。
ちょっと写真が上手にとれていませんが、左が造影 MRA の MIP 画像、右側が元画像です。冠状断撮影です。空間分解能は1.3×1.3×1.3mm のアイソトロピックと表示されています。
TimCT における下肢造影のプロトコールです。
最初に continuous table moving のスカウト画像を取得します。

次にテストボーラスによるタイミングのチェックを行います。

次にMRA 用のスカウト画像( Vessel scout)を撮影した上で、造影前後の MRA を取得します。

ーブル持続移動は、CTのことを考えると、一見たいしたことがないように思えますよね。しかしこれができるようになるためにはかなりの技術的バックグラウンドが必要であると思います。

なぜかというと、まず、 Tim のようなコンセプトがないといけません。その上に自動的に coil が上から下に向かって選択されていくような仕掛け( AutoCoil Select )が必要になります。さらに、各部位によって断面の大きさが異なりますので、その場所場所で RF パルスのエネルギーを変化させ 、SAR を調整しないとなりません。また部位ごとのシミングがきちんとなされている必要があり、これができないと脂肪抑制がうまくいかないということになります。おそらくVessel scoutではこのようなことをしていると思われます。さらに、テーブルが持続的に動いている状況で二次元の撮影を可能にする工夫や、あるいは造影 MRA のように、冠状断の三次元収集も行えるようにするための工夫も必要です。

これらがすべてクリアされた時に、初めて TimCT になるわけです。実際のプロダクトとして提供されるようになるには、かなり高い技術の集約がなされた結果と感じました。それではこの技術か今後何に役に立つのでしょうか? これは皆さんがぜひ考えいただきたいことだと思います。よく、「で、いったい何に役に立つの?」と(ちょっと威張った態度で)企業に聞く人がいますが、私はこれを端でありゃりゃーと思います。それを考えることが放射線科医や技師の役割、ですよねぇ。

それでは、その他のアプリケーションについて説明します。ここでは、新しい TWIST と BLADE について説明します。
TWIST は、いわゆる MR DSA で、三次元の高速造影 MRA です。
下の画像のように、高いフレームレートを有する subtraction の MRA として使うことができます。
BLADE は、 GE の PROPELLER と同じ撮影法です。あとから発表されただけあって、冠状断及び矢状断の撮影を可能にしています。また、 PROPELLER 型の撮影法で FLAIR 画像等も撮影することができます。
さらに、 PACE のような呼吸同期技術と併せて、腹部での撮影もできるようです。
拡大した画像でみると、右の BLADE で撮影した画像が非常に美しく撮影されていることがわかります。

撮像時間の延長が気になるところですが、あまり伸びないということでした。これも実際の撮影で試してみたいですね

BLADE は撮影方向が任意になので、このように手首や肩に対しても撮影することができます。これらの部位は動きやすいので、あまり良い application といえるのではないでしょうか。