Mar 5/2004 MRIの保険点数はこのように改良してはどうか?
(この記事の続きとして、案を書いてみました。)

ところで患者さんにとってはとても意外かもしれませんが(そして我々医療従事者にも全く理解に苦しむところでありますが)、今、どんなに古い(言い方は悪いですがどんなにぼろい)MR装置で撮影しても、拡散強調画像が撮影できる新しいMR装置で撮影しても、患者さんが払うお金はまったく同じです。車だって6年で価値がなくなるのに、なぜ医療設備はこういったことが考慮されないのでしょうね。とくにMRIなどのハイテク医療機器は、コンピューターの性能によって大きく差が出ます。みなさん、1995年のコンピュータと今のコンピュータが月とすっぽんほど性能が違うことはご存じですよね。その、月とすっぽんが同じ値段で行われているのですからこれはひどい話です。おまけに、新しい装置に代える良心的な医療施設はコストがかかり、10年前に導入して支払いも終わっている古い装置で撮影を続けているところは丸儲けの状態が続いているのですから、患者さん本位のシステムになっていないことは確かです。また、志高く、装置を更新したいと思っても、最近MRIは点数が3割以上引き下げられましたので、今後のこと(さらに引き下げられる可能性)を考えれば経営者としては当然新規装置の導入にためらいがでます。
 このため、
6年経ったら50%低く保険点数を下げて、そのかわり新しいものには点数を上げることによって全体的な医療費を増やさず(ゼロサム)に性能に応じた価格をある程度反映する、といった考え方が重要だと思っております。そうすればある程度古くなれば機械は更新するようになり、新しい装置はよく売れますから市場原理によって装置の値段は下がることになります。結果として患者さんにとっては全体として新しい装置が多くなるというメリットが生まれます。医療費も上昇しないし、装置会社も開発を続けることでしょう。このままでは、努力しない者がお金を得て、装置が売れずに開発が止まり、医療はじり貧になるのではないかと危惧しています。患者として受診される皆様、磁場強度も大切ですが、むしろ「いつ導入されたのか」ということが重要であるのを覚えていてください。最新設計の1500ccの「カローラ・1.5G」と、10年前の3000ccの「クラウン・ロイヤルサルーンG」とでは、安全性の装備もカローラのほうが良いのです。10年経てば、「ロイヤル」はもはや「ロイヤル」ではないのです。「新しい技術が導入されていること」がいかに大切かがおわかりになると思います。皆様が「導入時期」を気にするようになってくださると、国の政策も変わる可能性があると考えています。
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■ 導入後の経時的変化に対し、重み付けをする。

・3年目までは20%加算。
・4年目に基準値。
・7年目からは1/2に減額。
(6年目で入れ替えを促進するため)
・10年目超は老朽機として1/3に減額。

■ 磁場強度に対する重み付け

・磁場強度に対する重み付けはするが、経時変化ほどは大きい差にはならない。

・3Tはかなり高額な装置であるため、現時点では30%加算とする(将来、普及するようなら見直しをする)。

評価額 3T:130%, 1.5T:100%, 1.0T:90%, 0.5T:80%, 0.5T未満:70%。(現行水準からいきなり移行すると問題があるので、移行措置を設ける)

■中古装置のバージョンアップに対する加算

・金額2000万円以上の大きなバージョンアップにつき、その装置の生涯で1回だけ、2年分の若返り認定をする。

<<この試案のメリット>>

・医療費総額は変わらない(ゼロ・サム方式)ので医療費の上昇は招かない(医療費の有効分配)。
・しくみがシンプルで明快である(単純なシステムで運用が容易)。
・支払いが終わった老朽機をいつまでも運用して丸儲けをしているモラルの低い医療機関を排除できる。
・「安いのを買って長く使う」習慣を排除することにより、基幹病院での共同利用が増える(共同利用の推進)。
・新しい医療を実践する大学病院において、新規装置を低い経営リスクで導入できる(高度医療の維持)。
・開発企業にとっては定期的な更新が見込めるので、開発を続ける価値が出る(医療技術の向上)。
・新規装置の購入台数が増えるので、コストダウンが進み装置の値段は下がる(経済理論に矛盾しないしくみ)。
・古い機械は経済学的根拠に基づいて更新されるので、患者が新しい医療装置で受診できる期待値が上がる。

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